Love Magic!




恋をするのって、とっても難しいものだって。
 つい最近まで、わたしはそう考えていたわ。
 でも。
 知ってしまったの。
 人を好きになるのって。
 恋をするのって、とても簡単であることを。



「これ……かな? やっぱ……」
 考えに考え抜いて、手作りチョコレートの本を本屋さんで購入したのが。実は、先週。
 つまりは、本番1週間前でした。
 それまでは、市販の綺麗にラッピングしたものを準備すれば良いかなと言うものが頭の中にあったけれど。
 でも。
 ちょっと考え方が変わったの。
 そう。
 親友のタマちゃんが、大好きなだれかのためにと手作りで贈るって話を小耳に挟んだのもあるけれど。
 やっぱり。
 心をこめたものを贈り物にしたいかなって……
 時間とかはかかるけれど。
 それでも、作ったって言う気持ちは自分の中に残るじゃない?

 だから。
 決めたの。
 今年のヴァレンタインは、手作りチョコレートを彼にあげたいって……
 もらってくれるかな?
 実際のところは、それが問題なんだけれど。

 それでも、やってみたいと思うのよ。
 
 渡したいって。

 そりゃあ、告白はしたいけれど。
 好きって気持ちを、今はチョコレートの中に入れるだけで精一杯かも。
 喜んでくれると良いのに。




 尽を実験台兼助手にして、何とか形としては良く出来たと思うチョコレートを。
 もちろん、味だって悪くないはず。
「これなら、OK! ねえちゃんにしては、良く出来てるじゃん」
 太鼓判も押してもらえたほど。
 頑張ったよ。
 実際。
 早くから起きて、彼のためだけにって。
 自分の中の気持ちを全て入れて作れたって言っても構わないくらいに……ね。

 だから。
「受け取ってくれるかな……」
 ライバルは多いってことは、十二分にも承知しているわ。
 わたし。
 でも。
 知って欲しいの。
 これは、義理なんかじゃないってことを。
 貴方のためだけに作ったものなんだよ。
「……葉月くん」
 貴方のためだけのチョコだよ。
 わたしに、貴方を恋するような魔法がかかったように。
 このチョコにも、その魔法がかかると良いのにね。


 Love Magic!
 好きだよ。
 大好き。


「頑張れば、夢は叶うかも……」
 だから。
 貴方に渡すね。
 この想いと一緒に。
 貴方へと。
 葉月くん。
 
 大好きだよ。


©2004KONAMI/ 鏡ユイノ






2004年バレンタインフリー創作を頂戴してまいりました。

女の子にとっては、魔法とかそれを思う気持ちって、とてもとても大切だったりする。
魔法で叶うかもしれないって、本気で願う。
思わず口ずさんだ様な「Love Magic!」が、文中で楽しいリズムを刻んでいる。
それを受け取った心も楽しさでフワフワ"ε(・ω・)3゛
何気ない事だけれど、女の子に同調させるお話の書き出し方が、大好きです。
忘れていた感覚を呼び戻された感じがしましたもの。



  























背景/挿画:咲維亜作