好きと嫌いの交差点




 わたし。
 最近になって、ちょっと考えてしまうことがあります。
 男の子って。
 ううん。
 男の人って……
 愚問かも知れないけれど。
 やっぱり、わたしたち女の子と全然違うんだなって。
 そりゃあ、見目形からして違うだろうけど。
 でも、わたしが最近になって気になってしまうところは。
 ちょっと違うのだな。
 その。
 精神的なところって言うのか。
 あまり、上手い表現の仕方が出来ないのだけれど。
 その。
 女の子と違って、意外と。
 その……
 精神的なところ。
 考え方って言うか。
 想いって……言うのかな。


 実は、何でこんなことを考えているのかと言うと。
 あのね。
 今年のクリスマスのプレゼント。
 今更なのだけれど。
 プレゼントは、何が良いのかなって……。
 今年は、わたしにとって。
 いつものクリスマスとは、違うの。



 だって。
 はばたき高校を卒業して、初めて二人きりで迎えるクリスマス。
 特別な日であるから。
 高校を卒業して、やっとお互いに対等になれたと初めて思えるようになって迎える日だから。
 いつもと同じようには、過ごしたくない。
 もちろん。
 プレゼントだって、同じことだわ。
 


 だから。
 考えてしまう。
 悩んでしまう。
 何を選んだら、彼は。
 喜んでくれるかしら?
 って。


 本当は、多分。
 恋人なんだから……
 その。
 そういった特別なものが欲しいのかも知れないけれど。
 でも。
 わたしは───────
 そういうのじゃなくて。
 

 もっと違うものをあげたいの。
 だから。
 考えてしまう。
 悩んでしまう。



 好きだけど。
 こういうところで、一歩踏み込めない自分に対して。
 もしかしたら、本当は……
 嫌いなのかな?
 って。

 
 でも、それは違うわ。
 断言できる。



 踏み込めないのは、きっと。
 まだ時期じゃないから。



 貴方が、好きよ。
 大好きよ。
 世界で一番──────
 愛しているもの。



 だから。
 今だけは、少しだけ悩ませて。
 好きと嫌いの交差点で。
 今だけは。


2003©KONAMI/ 鏡ユイノ






2003年クリスマス創作をお願いして頂戴してまいりました。

女の子の迷いのあるもどかしい気持ちが何とも素敵に表現されていると思いませんか。
敢えて相手を断定せず、女の子のドキドキ感がより一層降りてきて、読み手にも自然と同調させるかのようなその手法。
恋している瞬間を自身が味わっているような不思議な感覚。
一緒に楽しめているようでたまりません。
全てが理屈ではなくて…。文章もすんなりと入って、一体化してしまう。
そんな楽しいワクワクの空間がここにはあります。



  







背景:咲維亜作